「Midjourneyで生成された画像は誰に著作権があるの?」
「Midjourneyを利用するうえで、トラブルにならないためには、どんなことに気をつければいいの?」
プロンプトから高品質な画像を生成できる人気の画像生成AI「Midjourney(ミッドジャーニー)」。
画像生成AIがさまざまな場面で活用され、利便性が高まる反面、活用の仕方次第でリスクを伴う場面も増えています。
特にMidjourneyの画像生成ツールを商用利用したい方にとって、著作権の問題は避けて通れない大きな課題ですよね。
今回は、Midjourneyの商用利用の可否や著作権に関するルール、利用時の注意点を詳しく解説していきます。
無料プランと有料プランの違い、著作権侵害のリスク、さらに実際に起きた訴訟事例まで幅広く取り上げ、具体的な対策も紹介します。
何も知らないまま画像生成AIを使っていると「知らぬまに著作権侵害をしていた!」なんて危険性も。
今回の記事を読むことで、AI画像生成の世界を安心して利用できるようになりますよ。
【Midjourney】有料プランであれば基本的に商用利用OK
Midjourneyを利用する上で、特に気になるのが商用利用の可否についてですよね。
結論から言えば、Midjourneyは有料プランであれば基本的に商用利用が可能になっています。
一方で、無料版で生成した画像の商用利用は禁止されています。
リリース初期の頃は、無料版Midjourneyでも商用利用が許可されていました。
2023年3月に無料版の提供が廃止されていますが、これ以前に作った画像にもさかのぼって当てはまるので、過去に無料版で画像生成をしたことのある方は注意しましょう!
商用利用の際は、画像生成にAIを使用していることを明示するようにしましょう。 Midjourneyを利用していることを事前に伝えておくことで、トラブル防止に繋がりますよ。
年間100万米ドル以上の売上を超える企業の場合
規模の大きな企業がMidjourneyを商業的に利用する際のガイドラインとして設けられています。
年間100万米ドル(2024年9月時点で約1億5,600万)以上の売上を超える企業がMidjourneyの画像を商用利用する場合、有料プランの中でも「Pro」・「Mega」いずれかに加入していなければなりません。
これは、企業の規模に応じた利用料を支払うことで、公平な利用環境を提供することを目的にしています。
Midjourneyの料金プランをチェック
2023年3月に無料版の提供が廃止されています。
Midjourneyを使用する場合は、有料プランから検討しましょう。
Midjourneyでは現在4種類の有料プランが提供されています。
Midjourneyの料金プラン
Basic Plan | Standard Plan | Pro Plan | Mega Plan | |
金額 | 月額:$10 年間:$96($8/月) | 月額:$30 年間:$288($24/月) | 月額:$60 年間:$576($48/月) | 月額:$120 年間:$1152($96/月) |
GPU時間(高速生成時間)※ | 3.3時間/月 | 15時間/月 | 30時間/月 | 60時間/月 |
リラックスモード(GPU時間を消費せず生成) | – | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
追加GPU時間の購入 | $4/時間 | $4/時間 | $4/時間 | $4/時間 |
ダイレクトメッセージで一人で作業する | ○ | ○ | ○ | ○ |
ステルスモード※ | – | – | ○ | ○ |
最大同時画像生成数 | 3枚/待ち時間ありで10枚 | 3枚/待ち時間ありで10枚 | 高速で10枚 リラックスモードで3枚 待ち時間ありで10枚 | 高速で10枚 リラックスモードで3枚 待ち時間ありで10枚 |
生成可能枚数 | 200枚まで | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
※GPU時間:1ヶ月あたりに高速の画像生成に使える時間のこと。Basicプランは月3.3時間ですが、画像枚数では約200枚に換算です。
※ステルスモード:ステルスモード:自身が生成した画像を非公開にできるモードのこと
有料プランでは、それぞれ費用やGPU時間などに違いがあります。
年間契約した方が、月あたりのサブスクリプション費用は抑えることができますね。
途中でアップグレード・ダウングレードも可能なので、その時自分に合ったプランを選びましょう。
Midjourneyで生成した画像の著作権は誰のもの?
Midjourneyに限らず、AIで画像生成するうえで切っても切り離せない問題が「著作権の取り扱い」ですよね。
ここからは、生成された画像の著作権の帰属先について、Midjourneyの利用規約から詳しく解説していきます。
生成された画像の著作権の帰属先
Midjourneyで生成された画像は、ユーザーが作成したものであっても、Midjourney自体にも一定の権利が発生する可能性があります。
Midjourneyの規約によると、有料プランのユーザーは生成画像に対する著作権を所有することができますが、Midjourneyもまた生成画像に対して一定のライセンス権を保持します。
つまり、ユーザーは商用利用ができるものの、Midjourney側もその画像を使用できる場合があるということです。
Midjourneyで生成された画像の所有権について、利用規約で詳細を確認していきましょう。
ユーザーの権利
お客様は、適用法の下で可能な限り、本サービスを利用して作成したすべての資産を所有するものとします。
ただし、いくつかの例外があります:
お客様の所有権は、本契約により課される義務および第三者の権利に従うものとします。 お客様が年間100万米ドル以上の収益を持つ企業またはその従業員である場合、お客様の資産を所有するには、「プロ」または「メガ」プランに加入する必要があります。 他人の画像をアップスケールする場合、これらの画像は元のクリエイターに所有権があります。
(略)お客様が作成したアセットの所有権は、その後数ヶ月の間にお客様がメンバーシップをダウングレードまたはキャンセルした場合であっても存続します。(DeepLで翻訳)
規約のポイントを整理すると、以下のとおりです。
- MidJourneyで生成された画像(アセット)の所有権は、ユーザーにある。
- 画像の所有権は、メンバーシップのダウングレードやキャンセル後も維持され、商用利用も含めたさまざまな用途に利用できる。
- ただし、他人が作成した画像をアップスケールする場合は、元のクリエイターに所有権がある。
ユーザーがMidjourneyに与える権利
本サービスを利用することにより、ユーザーはMidjourney、その後継者、および譲受人に対し、ユーザーが本サービスに入力したテキストおよび画像プロンプト、および本サービスを通じてユーザーが作成したアセットの複製、派生物の作成、公の場での表示、公の場での上演、サブライセンス、および配布を行うための、永続的、世界的、非独占的、サブライセンス可能な無償、ロイヤリティフリー、取消不能の著作権ライセンスを付与するものとします。
このライセンスは、理由の如何を問わず、いかなる当事者による本契約の終了後も存続するものとします。(DreepLで翻訳)
規約のポイントを整理すると、以下のとおりです。
- MidJourneyはユーザーが入力したテキストプロンプトおよび生成された画像に対して、コピー、改変、公開、配布する権利を付与する
- ユーザーはMidJourneyに対して使用料を請求することはない
- この権利は永久的に継続する
- この権利は無償で世界中で有効である
- この権利は、他者に再許可することも可能である
- 一度付与された権利は取り消すことができない
- 契約が終了してもこの権利は消えない
Midjourneyを使いこなすためには、こうしたルールをしっかり理解しておくことが大切です。
特に商用利用をしたい方は、トラブル防止のためにもリスク管理のポイントをしっかり押さえましょう。
著作権侵害のリスク
生成された画像が他の著作物に類似することで、著作権侵害に該当するかどうか心配ですよね。
気をつけていても、意図せずにブランドやキャラクターの権利を侵害する可能性がありるので注意が必要です。
AI画像生成では、インターネット上に存在する膨大なオンラインデータを学習して生成しますが、その中には著作権で保護された作品も含まれている場合があります。
それが原因で、AIが生成する画像が既存の著作物に非常に類似していることがあり、著作権侵害とみなされるリスクがあります。
例えば、特定アーティストの作品を模倣するプロンプトを使うと、意図せずにオリジナル作品と酷似したものが生成される場合があり、法的トラブルに発展する可能性があります。
著作権侵害のリスクを回避するためには?
著作権侵害のリスクを最小限に抑えるため、以下の点に気をつけましょう。
- 既存の著作物や人物を連想させるなプロンプトは避ける
- 生成画像が既存の作品に酷似していないか確認する
- 画像の利用範囲や使途を明確にし、必要に応じて許諾を得る
例えば、ディズニーやポケモンのように具体的なキャラクター名をプロンプトに含めると、著作権を侵害する画像が生成されるリスクが高まるので避けましょう。
また、生成された画像が既存の著作物と類似していないか、一度人の目で確認しましょう。
Google画像検索などの逆画像検索ツールを活用すると便利ですよ。
そして、商用利用の際は画像生成にAIを使用していることを明示するようにし、必要に応じて許可を得ておくことが大切です。
画像生成AIに対する実際の訴訟事例
AI技術の急速な発展により、世界中で訴訟や法的問題が増加しています。
例えば、2023年1月に画像生成AIが著作権を侵害したとして、Stability AI、Midjourney、DeviantArtの3社を相手どりアーティストたちが集団訴訟を起こしています。
Karla Ortiz、Kelly Mckernan、そしてSarah Andersenの3名のアーティストによる集団訴訟は、法律事務所のJoseph Saveri Law Firmを通じて起こされた。3者は自分たちの作品が画像生成AIの学習に使われ、そこから派生的画像が生み出されていることが、著作物に関する排他的権利を定めた法律を侵害し、デジタルミレニアム著作権法や不正競争防止法違反だと主張している。(引用:ARTNews)
この訴訟は、AIと著作権の問題に関する先駆的なケース。
今後のAI技術の発展に影響を与える可能性があり、これからの法的枠組みが注目されています。
Midjourney利用時の注意点2つ
ここからは、Midjourneyを適切かつ安全に利用するために、気をつけておきたい注意点を2つご紹介します。
- 禁止事項をチェック
- 誤った情報の拡散リスク
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.禁止事項をチェック
Midjourneyで画像生成するうえで、利用規約とコミュニティガイドラインにおいて、ユーザーが守るべき禁止事項が定められています。
この禁止事項に違反すると、
- Midjourneyから警告を受ける
- アカウントが停止されたりする
といったペナルティが課されます。
また、悪質な違反を繰り返した場合は、Discordサーバーから永久に追放される可能性もあるので注意しましょう。
主な禁止事項は以下のとおりですです。
禁止事項
- アダルトコンテンツ、グロテスクな表現、ショッキングな内容等の低俗な画像の作成
- 暴力的、虐待的な画像の生成
- 違法行為や犯罪を助長するようなコンテンツの作成
- 他者の知的財産権を侵害する画像の生成(著作権侵害など)
- 個人情報の不正利用やプライバシー侵害につながる行為
- ヘイトスピーチや差別的表現を含む画像の作成
- Midjourneyのサービス運営を妨げる行為(サーバーへの負荷をかけるなど)
- 他のユーザーに被害を与えたり、コミュニティを乱す行動
トラブルを未然に防ぐためにも、必ず利用規約を遵守することが大切ですよ。
2.誤った情報の拡散リスク
AIが写真のような画像生成をする能力が大幅に上がる一方で、ディープフェイク画像として誤った情報が拡散されるリスクも高まっています。
非常に巧妙に生成されてしまうので、それらの画像がフェイクだと気づかず、騙されるケースも多いですよね。
例えば、ドナルド・トランプ前アメリカ大統領が逮捕されたシーンなどがフェイク画像として拡散されたことがありました。
AIを使った画像生成技術は非常に高度化しており、現実と見分けがつかず混乱を招くことがあり、社会問題として注目されています。
今回Midjourney無料版が廃止したことは、ディープフェイクの拡散防止があるのではないかと推察されています。
『Midjourney』著作権は誰のもの?リスクや商用利用を解説:まとめ
画像生成AIは、新しい可能性を広げる一方で、著作権や既存デザインとの類似性などのリスクも伴います。
Midjourneyを使いこなすためには、そのルールをしっかり理解し、法的リスクを未然に防ぐことが重要です。
特に商用利用をしたい方は、トラブル防止のためにもリスク管理のポイントをしっかり押さえましょう。
また、著作権侵害のリスクを軽減するために、逆画像検索ツールを使い、生成した画像が既存の作品に似ていないか確認するなどの工夫を意識することも大切。
安全に画像生成AIを活用するために、ユーザーひとりひとりがルールを遵守していきたいですね。