検索するときに、答えが見つからない時ほどもどかしいことはありません。
具体的な解決策を探しているのに、関連性の薄い情報が並ぶだけだと、時間が無駄に感じてしまいますよね。
そんな悩みを解決してくれるのが「RAG」と呼ばれる機能。
DifyにRAG機能を活用すれば、ユーザーの検索意図に応じた正確な情報提供が可能になります。
今回は、
- DifyでRAGを作るための具体的なステップ
- 検索精度を高めるテクニック
について解説していきます。
今回の内容を実践することで、検索結果の精度が驚くほど向上し、ユーザーの満足度も大幅アップ間違いなしですよ!
Difyの特徴や作成できるアプリは?
Difyには初心者からプロまで扱いやすい、さまざまな特徴があります。
また、手軽ながらも、Difyだけで幅広いアプリケーションの開発が可能です。
まずはDifyの基本情報について確認していきましょう。
Difyとは?
Difyは生成AIアプリを開発できるオープンソースプラットフォーム。
ノーコード/ローコードのため、プログラミングの専門知識がないユーザーでも、
- チャットボット
- データ解析ツール
- カスタマーサポート
など、幅広いAIアプリを手軽に作成・運用できます。
特徴
Difyは初心者でも手軽に使いこなせる扱いやすさと、柔軟性・拡張性の高さがポイント。
Difyの主な特徴は以下のとおり。
▼Difyの主な特徴
直感的なUI(ユーザーインターフェース) | 直感的なUIで、プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップ操作でアプリケーションを構築できる |
テンプレート | 用意されたテンプレートをカスタマイズすれば、短期間でアプリが構築できる |
豊富なモデルサポート | 多様なAIモデル(OpenAI、Anthropic、Azure OpenAI、Hugging Faceほか)のサポートがあり、柔軟な活用できる |
多様な外部サービスの組み込み | Google検索、Slack、Dell-E、Stable Diffusionなどの外部ツールが組み込める。これにより高度な機能を持つAIアプリ開発が可能 |
ナレッジ機能 | Difyに搭載されたRAGパイプラインを活用し、チャットボットアプリなどを作成できる |
Difyで作成できるアプリ
を使って作成できるアプリは、以下のようなものがあります。
▼Difyで作成できるアプリ(例)
カスタムチャットボット | 顧客サポートボット:顧客の質問に自動応答し、サポート業務を効率化するAIチャットボット。 FAQボット:企業や製品に関するよくある質問に自動的に回答するアプリ。 |
テキスト生成アプリ | ライティングアシスタント:ブログ記事、報告書、マーケティングコンテンツの作成をサポートする自動文章生成アプリ。 ニュースレター生成アプリ:定期的にニュースレターを作成し、自動配信するアプリ。 |
自動化アプリ | メール返信自動化:メールの内容を解析し、適切な返信を自動生成するアプリ。 スケジュール管理ボット:カレンダーと連携して、予定を自動調整・通知するアプリ。 |
リコメンドシステム | パーソナライズド商品推薦エンジン:ユーザーの好みに基づいて、オンラインショップでの商品を推薦するシステム。 コンテンツ推薦アプリ:ユーザーの視聴履歴に基づいて動画や記事を推薦するアプリ。 |
これらはDifyで作れるアプリケーションの一部ですが、アイデア次第でさまざまな分野やニーズに対応したAIアプリを作成できます
利用料金
difyには無料プランのほかに、規模に合わせて有料プランが3パターン用意されています。
支払い方法は月額払いと年額払いの2つ。
年額払いで契約する場合は、2ヶ月分の割引があってお得ですよ。
RAGとは?メリットはなに?
RAG(検索拡張生成)とは、欲しい情報を検索して抽出し、その内容をもとに生成AIに回答を生成させる技術のこと。
通常AIは学習済みのデータから回答を生成します。
一方で、RAGの場合は、質問に応じて関連する外部のデータベースや知識ベースから情報を取得し、それをもとに回答を作成します。
これにより、最新の情報や特定のデータに基づいた回答が可能になっているんです。
Difyでは、このRAG機能を簡単に活用できる仕組みが搭載されています。
例えば、あらかじめ登録した商品情報やFAQに基づいて、最新で正確な回答を提供するAIアプリを作成することができます。
RAG機能を活用するメリット
RAG機能の大きなメリットは、生成AIがデータベースを活用して、予測だけに頼らない正確な情報を提供できること。
RAGでは必要に応じて「最新の情報」や「特定の知識」にアクセスして、回答を強化します。
このようにRAGを使うことで、質問に対してより具体的で文脈に沿った回答が得られるため、ユーザーも納得しやすくなります。
また、Difyでは、検索範囲や方法を細かく設定できるので、必要に応じて回答の精度を高めることができます。
例えば、
- ビジネスアプリ
- カスタマーサポート
などのように、情報の正確さが求められる場面でも大きな効果を発揮しますよ。
【Dify】検索精度を向上!RAGの作り方4ステップ
まず具体的な話に移る前に、DifyでのRAGの仕組みをざっくりと理解でしておきましょう。
この流れを頭に入れておくと、設定するときも分かりやすくなりますよ。
▼RAGの仕組み
1.Chunk化 | アップロードしたPDFファイルなどの元データを、文や段落など意味がまとまった単位(Chunk)ごとに分ける。 |
2.ベクトル検索(Vector Search) | 各Chunkを数値データ(ベクトル)に変換してデータベースに保存。ユーザーからの質問もベクトルに変換し、データベース内で質問に近いベクトルのChunkを探し出す。 |
3.再順位付け(Reranking) | ベクトル検索で見つけたChunkの中から、質問に最も合うものを選び出す。「Rerankモデル」と呼ばれる別のAIモデルが、各Chunkの質問への適合度をスコア化し、スコアの高い順に並べ替える。 |
4.回答の生成 | 最適なChunkを使って、生成AIが回答を作成する。 |
それでは、この一連の流れをDifyに実装していきましょう。
RAGの作り方4ステップ
1.「Knowledge」タブを選択し、「Create Knowledge」をクリック
2.検索対象にしたいデータをアップロード
Textファイル、PDFファイル、HTMLファイル、Wordファイル、CSVファイルなど、さまざまファイルをアップロード可能です。
3.ファイルの探索・検索方法について設定
- High Quality:デフォルトのシステム埋め込みインターフェースを使用
- Economical:オフラインのベクトルエンジン、キーワードインデックスなどを使用
- Vector Search: クエリの埋め込みを生成し、意味的な類似性を基に検索する方法。文脈を理解し、類似した意味を持つ文書を高精度で検索できる。
- Full-Text Search : ドキュメント内のすべての用語をインデックス化し、ユーザーのクエリと一致するテキストを検索する方法。単語の正確な一致に基づいて検索を行うため、特定のキーワードに対する精度が高い。
- Hybrid Search : 上記2つの検索方法を組み合わせて同時に実行し、ユーザーのクエリに最適なマッチを選択するためにリランクを行う。
4.「Save」をクリックすれば、Knowledgeが登録される
RAG機能を活用したチャットボットを作ってみる
RAG機能を実装した簡単なチャットボットを作成する方法をご紹介します。
1.メニューから「Studio」を選択し、CREATE APP内にある「Create from Blank」をクリック
2.「Chatbot」を選ぶ
3.チャットボット作成画面に移るので、「Context」メニューから「Add」をクリック。
4.登録済みのKnowledge一覧が表示されるので、検索させたいドキュメントを登録しているKnowledgeを選択する。※複数選択可能
簡単にRAG機能を活用したチャットボットができました!
RAG機能を精度向上させる3つのコツ
RAG機能を最大限活用し、より精度の高い応答システムを構築するためには、以下の3つのコツを意識しましょう。
1.質問とそれに対応する回答のペアを明確に定義する
2.複数の関連する質問文をデータベースに登録する
3.自動質問生成機能の設定する
1.質問とそれに対応する回答のペアを明確に定義する
質問と回答のペアを明確に定義することで、RAGモデルの応答精度が大きく向上します。
質問と回答をペアリングすることで、
- 特定の質問に対する答えが一貫して得られるようになる
- 誤った情報の出現を防ぎ、ユーザーが求める情報に迅速にたどり着けるようになる
- モデルのトレーニング時に重要な要素となり、検索の精度が大きく向上する
という効果があります。
2.複数の関連する質問文をデータベースに登録する
精度向上のためには、ユーザーが入力するさまざまな表現やシナリオを考慮し、異なる質問文を用意することが有効。
例えば、同じ質問でも言い回しが異なる場合や、同義語を含む場合が多くありますよね。
関連する質問バリエーションを複数生成し、データベースに登録しておくと検索精度が向上につながります。
3.自動質問生成機能の設定する
Difyには、質問文を自動生成する機能が備わっており、簡単な設定で様々なバリエーションの質問を自動的に生成できます。
この機能を利用すると、ユーザーの質問に対して広範囲な言い回しでの応答が可能になります。
自動質問生成機能をうまく活用するには、元の質問意図を維持しながら異なる表現で再生成することがポイント。
また、質問の再生成時には、具体的なキーワードを含むように意識すると効果的ですよ。
【Dify】検索精度を劇的に高める!RAGの作り方を徹底ガイド:まとめ
RAGは、生成モデルの回答精度を向上させる重要な技術。
RAGを活用するには、ナレッジデータを整理して準備することが重要です。
また、質問と回答のペアリングや自動質問生成機能を活用して多様な質問バリエーションの設定が精度向上のためのコツ。
RAG機能をうまく活用することで、検索結果は驚くほど精度が向上し、ユーザーの満足度も大幅にアップするでしょう。