自動運転や音声認識、画像処理など、近ごろAI技術が私たちの生活に浸透しています。
その技術を実際に自分で作り上げることができるプログラミング言語として、注目を集めているのが「Python」。
「PythonでAI作成にチャレンジしてみたいけど、難しそう…」
これからプログラミングを始める方でも大丈夫!
実は、Pythonはシンプルな構文と初心者に優しいツールが揃っており、誰でも手軽にAIの世界へ足を踏み入れることができる言語なんです。
今回は、Pythonを使ってAI作成を始めるための基本から、実際にPythonで音楽生成AIを作るステップまで解説します。
初心者でもすぐに実践できるように、環境のセットアップ方法や便利なツールの紹介、実際に動くAIの例も交えながら丁寧に説明しています。
AIは複雑で専門的な知識が必要な分野というイメージがありますが、Pythonを使えば、そのイメージはガラリと変わりますよ。
PythonでAI開発しよう!
実際にPythonでAI開発を行う前に、まずはPythonの概要といった基本的なところから、PythonがAI開発に適している理由を確認していきましょう。
pythonとは?
Pythonは、簡単な構文と便利なツールが揃っているため、AI開発の主要なプログラミング言語として広く採用されています。
初心者〜プロまで愛用され、GoogleやFacebookなど、大手IT企業でも使われる実用的なプログラミング言語なんです。
AIの基本は、機械学習やディープラーニングを使って、データから学習しパターンを見つけること。
このパターンを使って、将来のことを予測したり、データを分類したりします。
Pythonには「ライブラリ」と呼ばれる、あらかじめ作られている便利なコードを呼び出すためのショートカットが充実しています。
例えば、
- データの整理や分析を行う:NumPy、Pandas
- 機械学習モデルの実装が簡単に行える:TensorFlow、Keras
があります。
こういったツールのおかげで、Pythonを使うと少ない手間で高度なAIを作ることが可能なんです。
PythonがAI開発に適している理由
- プログラミングの専門的な知識がなくても、初心者でも簡単にAI制作しやすい
- AIが必要とする膨大な計算量にも対応可能
PythonがAI開発に適している理由は「シンプルさ」と「強力なライブラリの存在」です。
Pythonはコードが直感的で読みやすく、複雑な数式やアルゴリズムを容易に実装できます。
さらに、AIや機械学習用の専用ライブラリが豊富で、これらを活用することにより、専門的なプログラミングの知識がなくても高性能なAIシステムを構築可能です。
また、Pythonは大規模なデータ処理や並列処理に強く、AIが必要とする膨大な計算量にも対応できます。
Pythonでどんなものが作れるの?
Pythonで具体的にどんなAIが作成可能なのでしょうか?
Pythonを使って、初心者が作りやすいものの例を3つご紹介します。
- Excel 自動化ツール
- Webクローリング&Webスクレイピングツール
- シンプルなゲーム
1.Excel 自動化ツール
PythonでExcelの作業を自動化し、手作業を減らすことができる「Excel自動化ツール」の作成が可能です。
Pythonには、Excel操作用の便利なライブラリが用意されているので、初心者でも簡単に始められておすすめです。
Excel自動化ツールで具体的にできることは、例えば、
- 複数のデータからグラフを自動で作成
- 複数のファイルのデータをまとめて処理する
などが可能。
Excelには「VBA」というマクロ機能がありプログラムで自動化できますが、Pythonを使うことで、VBAでは難しい処理や時間がかかる作業も、短時間でこなせることがよくあります。
さらに、Pythonを使えば、Web上のデータとExcelを連携させることもできます。
自動的にWebデータを取得し、Excelに反映させたり、グラフを生成したりと、幅広い作業を効率化できますよ。
Pythonを使った「Excel自動化ツール」は、実践的なスキルを学びながら、実際に仕事や日常で役立つツールを作れるため、初心者にピッタリです。
2.Webクローリング&Webスクレイピングツール
Pythonで「Webクローリング」と「webスクレイピング」をしてくれるツールの作成も可能です。
「Webクローリング」とは、Webサイトから情報を集める行為のこと。
クローリングによって、WebサイトのHTMLデータを取得し、文章や画像などを自動的に収集できます。
また、「Webスクレイピング」は、集めたデータから特定の条件に合う情報だけを取り出す行為のこと。
クローリングとスクレイピングは、いずれも専用のライブラリを使うことで、効率的にプログラムを作ることが可能です。
例えば、「BeautifulSoup」や「Selenium」などのライブラリを使えば、初心者でも短時間でクローリングとスクレイピングが実行できます。
PythonでAIを作る際には、データの収集と分析が重要なステップとなります。
クローリングやスクレイピングを習得することは、データ収集の良い練習にもなりますよ。
3.シンプルなゲーム
「シンプルなゲーム作成」もPython初心者におすすめです。
ゲーム専用のライブラリがあって、作れるゲームの種類も豊富。
例えば
- ボールを打ち返すシンプルなスポーツゲーム
- インベーダーゲーム
などが、初めてでも簡単に作成できます。
また、ライブラリを活用することで、RPGやアクションゲームなど、より複雑なゲームを作ることも可能なんです。
ゲーム制作を通じて、Pythonの基本的なプログラミングスキルを自然に習得できるので、初心者にもおすすめの学習方法ですね。
Pythonのセットアップ手順
それではここからは、Pythonのセットアップ手順を解説していきます。
Pythonをインストール
Anaconda初回インストール時に約6GB以上ものストレージ容量を確保する必要があります。あらかじめストレージを確認しておきましょう。
Pythonをインストールするにはいくつか方法がありますが、今回は無料で使える「Anaconda」というディストリビューションを利用します。
Anacondaを使用する最大のメリットは、Python環境や主要なライブラリを一括でインストールできること。
これにより、個別にライブラリをインストールする手間が省け、初心者でも簡単に開発環境を整えることができますよ。
インストール手順
ダウンロードの際、Pythonのバージョンを選択できますが、特に必要がなければ、最新のバージョンを選択することがおすすめです
- Anaconda公式サイトから、使用しているOSに合わせたバージョンの「Download」ボタンをクリック。
- ダウンロードしたインストーラを起動し、画面の指示に従ってインストール。
- Anaconda Navigatorを起動し、正常にインストールができているか確認しましょう。
Anaconda Navigatorは実質的なメニュー画面です。
仮想環境の作成や管理、各種パッケージのインストールなどの操作を直感的に行うことができるので、初心者の方はNavigatorを利用しながらの方が操作しやすいですよ。
仮想環境を構築する
仮想環境とは、一つのコンピュータ上に複数の独立したPython環境を作成するための「ワークスペース」のようなもの。
仮想環境を構築することで、
- 異なるプロジェクトやパッケージやバージョンを隔離して管理できる
- パッケージ間の依存関係の問題を避ける
ことができます。
手順
- Anaconda Navigatorを起動する
- ホーム画面で左側のメニューから「Environments」を選択し、「Create」をクリック
- 「Name」フィールドに仮想環境の名前を入力し、Pythonのバージョンを選択する
- 「Create」をクリックして、仮想環境の作成を開始する
仮想環境を起動・終了するには
仮想環境を利用する際は、起動させ、作業が終わったら終了するようにしましょう。
起動方法
- Anaconda Navigatorの「Environments」タブを開く
- 仮想環境の一覧から使用したい環境を選択する
- 右側の「Home」タブに移動し、「Start」ボタンをクリックして仮想環境を起動させる
終了方法
- ターミナルかコマンドプロンプトを開く
- “conda deactivate”と入力して、エンターキーを押す
初心者におすすめのPython統合開発環境(IDE)
統合開発環境(IED)は簡単にいえば、プログラマの開発作業を支援してくれるアプリケーションのこと。
IDEを利用することで
- 開発の効率化
- 外部パッケージの導入が簡単
- コードの入力補完機能でエラーがすぐにわかる
というメリットがあります。
Python開発に最適なIDEを選ぶことで、生産性が大幅に向上します。
数あるなかでも、初心者におすすめのIDEは「PyCharm」です。
PyCharmは、PythonのIDEの中でシェア率No.1と言われているほどザ・定番のIDE。
PyCharmは開発をサポートする機能が充実していて、PyCharmだけでPythonの開発が完結できるところが魅力です。
- コードの補完
- リアルタイムでのエラー指摘や修正
- ライブラリ管理
- プロジェクト管理
初心者の方は、定番のPyCharmをおすすめします。
【コピペOK】Pythonで「音楽生成AI」を作ってみた
今回はPythonライブラリ「Magenta」を使って、AI技術を使ってメロディや楽曲を自動で作り出す音楽生成AIを作成してみました。
MagentaはGoogleが開発したオープンソースのプロジェクトで、音楽とアートの創造に特化したAIを手軽に作ることができますよ。
ちなみに、Magentaでは様々な作曲AIモデルがあり、イメージする音楽によって選べます。
- Melody RNN(単音のシンプルなメロディー)
- Drums RNN(ドラム演奏)
- MusicVAE(3パートのバンド演奏)
- Improv RNN(コード進行に沿ったアドリブメロディー)
- Polyphony RNN(バッハ風合唱曲)
- Pianoroll RNN(現代音楽的な複雑な和音)
- Performance RNN(高度なピアノ演奏)
紹介するコマンドをコピペOKなので、ぜひ試してみてくださいね。
MagentaとTensorFlowのインストール
実際に作成する前に、まずは「Magenta」と「TensorFlow」のセットアップを行いましょう。
「TensorFlow」は機械学習を実践するためのライブラリ。
MagentaはTensorFlowの上に構築されているため、TensorFlowをインストールした後にMagentaをインストールします。
手順
- Pythonの仮想環境を有効化した後、ターミナルまたはコマンドプロンプトを開きます。
- 以下のコマンドで「TensorFlow」と「Magenta」をインストールします。
# TensorFlowをインストール
pip install tensorflow
#Magentaをインストール
pip install magenta
実際にメロディを作成しよう!
実際に音楽生成AIでAI作曲すると言っても、流れはとてもシンプル。
- 学習済みデータをダウンロード
- 曲を生成するコマンドを実行
これだけなんです。
さっそくやっていきましょう!
学習済みデータをダウンロード
こちらからMelody RNNの学習済みデータをダウンロードしましょう。
リンク先の「Pre-trained」のところにある「basic_rnn」をダウンロードします。
曲を生成するコマンドを実行
次はコマンドを実行しましょう。
今回は『かえるのうた』を作成するものです。
melody_rnn_generate ^ (Melody RNNを使ってメロディを生成するコマンド)
--config=basic_rnn ^ (使用するモデルの設定)
--bundle_file=basic_rnn.mag ^
--output_dir=output ^ (学習データの格納場所へのパス)
--num_outputs=1 ^ (生成するメロディの数)
--num_steps=128 ^ (生成するメロディの長さ)
--qpm=120.0 ^ (メロディのテンポ)
--primer_melody="[60, 62, 64, 60, 64, 62, 60, 64, 60, 62, 64, 60]" (MIDIピッチ番号)
コマンドを実行すると、outputフォルダに生成されたMIDIファイルが保存されます。
PythonでAI作ってみた!誰でもできる簡単開発ガイド:まとめ
AIを作るというのは決して難しいものではなく、適切なツールと知識を持って取り組めば、初心者でも高度なAIシステムを作ることができます。
そんな中でもPythonは、シンプルな構文と強力なツールが揃っており、誰でも簡単にAIを開発できる優れたプログラミング言語。
初心者にも優しい言語であり、豊富なライブラリ(NumPy、Pandas、TensorFlow、Kerasなど)を利用すれば、データ処理やモデルの構築がスムーズに行えます。
ぜひ今回の記事を参考に、Pythonのシンプルさとその力を活かして、未来の技術を自分の手で作り上げる楽しさを感じてみてくださいね。