はじめに

 この記事では、クリエイティブ製品やデジタルマーケティングソフトウェアで知られる米国の大手ソフトウェア企業のAdobeが提供する画像生成AI技術Adobe Fireflyについてご紹介します。

 Adobefireflyは、テキストベースの指示から高品質な画像を生成するAIで、企業のクリエイティブな需要に大きく貢献すると思います。

 そして、Adobeの豊富な画像編集ツールPhotoshopやillustratorなどと連携することで、よりデザイン分野での活躍できるAI画像生成ツールです。

 またほかの画像生成AIに比べて、著作権に敏感な商用環境での使用に適しています。

 Adobeが独自に開発した学習データを使用しており、著作権侵害のリスクを最小限に抑えることが可能だからです。

 この点が、他の画像生成AIと比較してAdobe Fireflyの大きな利点となります。

 Adobe Fireflyの活用例をご紹介します。

①迅速なビジュアルコンテンツの生成:SNS投稿、ポスター、チラシなど、目を引くビジュアルを素早く生成することができます。

(背景のガラスの花がAdobefireflyの生成作品です。)

②マーケティング資料の充実:キャンペーン用のビジュアル資料を簡単に作成し、効果的なマーケティング活動を支援します。

(人物が生成物です。)

③エンターテイメントコンテンツの作成:ユーモラスなミームやアトラクティブなエンターテインメントコンテンツを生成し、視聴者の注目度を高めます。

(猫の部分が生成物です。)

④出版物用のイラスト生成:書籍や雑誌のイラストをこのツールを使用して独自に作成し、出版物の視覚的魅力を強化します。

(ハンバーガーが生成物です。)

 以上のように、Adobe Fireflyはビジネスの多様なニーズに応じて、高品質な画像を迅速かつ効率的に生成することができるため、企業のブランド価値向上に大きく貢献します。

 この記事を読んで是非お試ししてみようと思っていただければ幸いです。

Adobe Fireflyとは何か?

Adobe Fireflyの基本

 Adobe Fireflyは、Adobeが提供する新しいツールで、テキストを入力するだけで画像を作成できます。

 このツールはインターネット上で簡単に使えます。

 画像を自動で作ることができるので、デザインのスキルがなくても、簡単にプロのようなビジュアルコンテンツを作ることが可能です。(Adobe Solutions)。

主な機能と技術

 Adobe Fireflyの主な特長はその多言語対応で、100以上の言語でテキストプロンプトをサポートしています。つまり日本語でChat欄に指示を入力すればできるのでやりやすいです。

 これにより、幅広い言語のユーザーが自分のアイデアを具体化できます。

 また、Adobe Fireflyは、写真の不要物の除去など、多岐にわたるクリエイティブな課題に対応可能です。

 一例ですが、下記のように画像を数秒で作って、2枚目のようなサムネイルを作ることができます。

 素材をいちいち他から探すより自分で思い描いたものを指示して作れば、サムネイルも早くかつ理想的なものが作れるようになると思います。

 それでは、登録から実際に画像生成の流れをご紹介していきます。

登録方法

まず、Adobefirefly(Adobe Firefly)のサイトに入る。

 Adobe Fireflyを使い始めるには、まずAdobeのウェブサイトにアクセスしてアカウントを作成します。Fireflyは無料で試すことができ、基本的な機能は誰でも利用可能です。

 より多くの機能を使いたい場合は、有料プランにアップグレードすることもできます。

 ウェブサイトから直接、必要な手続きを行うことができ、すぐにコンテンツ作成を始められます 。

Adobefireflyを使って画像を生成する手順

① アクセスとモデル選択

 Adobefireflyに(Adobe Firefly)ログインし、「テキストから画像生成」の所をクリックして始めます。

 沢山の絵が出てきます。好みの画像にポインターを合わせ、クリックしてみてください。

 sample的な画像が生成されます。

 そうすると下記のような画面になります。(ブラウザ版で説明させていただきます。スマホでもできますが配置が違うのでご注意ください)

 「一般設定」セクションからモデル ドロップダウンメニューを開き、「Firefly Image 2」または「Firefly Image 3」を選択します。

 こちらは最新のものに合わせておくのが良いでしょう。2024年5月現在はFirefly Image 3が適切だと思われます。

② 縦横比とコンテンツタイプの設定

 次に、画像の縦横比を「横 (4:3)」、「縦 (3:4)」、「正方形 (1:1)」、「ワイドスクリーン (16:9)」から選択します。

 「コンテンツの種類」で、「写真」または「アート」を選択し、必要に応じて自動モードをオンにして写実的なものを作るかイラスト的なものを作るか指定できます。

③生成する

 ここまで設定できれば、とりあえず生成できます。日本語で作りたいものができるのでプロンプト欄に入力してみましょう。

 効果的なテキストプロンプトを作成するためには、簡潔で直接的な言葉を選ぶようにし、少なくとも3つの単語を使用します。

 例えば、「前景の高い山の崖の上に建てられた近代的な小さな家のある高山の風景」などです。自分の作りたい画像をイメージして言語化してみましょう。

 箇条書きでも対応してくれます。入力したら、右下の生成というボタンをクリックすれば4枚生成してくれるので気に入った絵を探せばOKです。なければまた生成を押せばOKです。

 無料で試している場合は1回で1クレジットで月25回まで。有料の場合は一応課金量によって回数制限がありますのでご確認ください。https://helpx.adobe.com/jp/firefly/using/generative-credits-faq.html#commercial-use

 ここからは、より理想的な画像を作るためのオプションみたいな機能を紹介します。

④ 構成:(指定しなくても生成は可能です)

 「構成」の部分でで参照画像をアップロードするか、ギャラリーから画像を選択し、強さスライダーを調整して生成画像の構造への忠実度を設定します。

⑤スタイルの「参照」:(指定しなくても生成は可能です)

強さスライダーを調整してスタイル参照画像にどれくらい忠実に生成するかを設定します。

「参照」オプションで、参照画像に基づいて画像を生成し、組み合わせてユニークな美しさを生み出します。

注意点

 「参照」オプションでアップロードした画像はAdobe Firefly のモデルのトレーニングには使用されません。画像を使用する前には権利者の許可が必要です。

⑥スタイルの中の「効果」:(指定しなくても生成はできます)

 「効果」も、プロンプトにプラスで雰囲気や、状況などを表現してくれる部分になります。沢山の表現方法があり、いろいろ試していただくと思いもよらない良い画像が作れたりするのでいろいろ試してほしい機能です。

 他にも様々な設定ができます。いろいろ使ってみるとコツがつかめますのでお試しください。

⑦生成結果の選択と操作

  • 生成された画像の中から気に入ったものを選び、画像にポインターを合わせると「編集」、「ダウンロード」、「お気に入りに保存」などのオプションが表示されます。
  • 必要に応じて「すべてをダウンロード」ボタンをクリックし、生成されたすべての画像バリエーションを保存します。

⑧ 生成塗りつぶし

 2024年4月に追加された機能で拡張があります。編集力が高くなり様々な媒体に合わせて変更して使いやすくなりました。

 このように、Adobefireflyは様々な表現を日本語で行うことができます。画像生成AIの中でもビジネス等で実用的な画像を生成するのに適したオプション機能が多数存在するといえます。

商用利用の可能性と著作権の安心感

商用利用のガイドライン

 Adobe Fireflyは、ビジネスでの使用にも安全に利用できるように設計されています。

 具体的には、Fireflyの開発には、Adobe Stockのような正式に使用許諾を受けたコンテンツや、著作権の切れた公共のコンテンツが使用されています。

 これにより、作成された画像やビデオは商用目的で利用することができ、利用者は著作権違反の心配も少なくなくクリエイティブな活動を行うことが可能です (Adobe Solutions) (Adobe Solutions)。

著作権に関するクリアなルールと事例

 Adobeは、Content Authenticity Initiative(コンテンツ認証イニシアチブ、CAI)の共同創設者として、生成AIの責任ある使用を推進しています。

 CAIは、コンテンツの真実性と出所を証明するオープンな業界標準を確立することを目指しており、メディア企業、テクノロジー企業、NGO、研究者が参加しています。

 さらに、Coalition for Content Provenance and Authenticity(C2PA)と協力し、コンテンツに認証情報を付加できる技術を開発しています。

 これにより、消費者はAIによって生成された作品かどうかを明確に識別できるようになり、信頼性の高いコンテンツを提供できます (Adobe Solutions)。

 これらの取り組みにより、Adobe Fireflyを使用して生成されたコンテンツは、法的な安全性が高く、商業的なプロジェクトにおいても安心して使用できます。

料金体系

 無料プランもありますが、生成した画像の左下にクレジットが表記されるので、有料プランにすることをお勧めします。(2024.5.1現在)

 こちらが、ファイアフライとCreative Cloudのプラン比較表です。ご確認ください。

各プランの比較

プラン料金クレジット付与透かし追加情報
ファイアフライ無料プラン無料毎月25クレジットありクレジットを使い切ると生成速度が遅くなる
ファイアフライ プレミアムプラン月額680円毎月100クレジットなしクレジットを使い切った場合も、1日2回まで生成可能
Creative Cloud 単体プラン月額1,180円〜毎月最大500クレジットなし対象アプリ1つを選択できる(Photoshop、Illustratorなど)
Creative Cloud コンプリートプラン月額7,780円毎月1,000クレジットなし20以上のデスクトップ/モバイルアプリが利用可能

生成AIを含むプランを比較 | Adobe Firefly

他の画像生成AIとの違い

AI画像生成ツールの概要

 近年、AIを用いた画像生成ツールが数多く登場しています。

 DALL-EやMidjourneyなどのプラットフォームもその中に含まれ、各々が独自の特徴を持っています。これらのツールは、単純なテキスト入力から複雑な画像を生成する能力を持ち、クリエイティブな分野での利用が進んでいます。

Adobe Fireflyの独自性

 Adobe Fireflyは、Adobeの長年にわたる技術的蓄積を背景に持つ画像生成AIであり、特に商業利用における安全性を重視して設計されています。

 この点が他のAIツールとの大きな違いです。Adobeは、著作権に敏感な商業環境で安心して使用できるよう、ライセンスされたコンテンツやパブリックドメインのコンテンツを用いてFireflyをトレーニングしています。この部分が私がAdobefireflyの最もお勧めできる部分です。

特徴

 私の個人的な感想ですがAdobe Fireflyは、特にリアルな人物像や素材の生成において高いクオリティを実現しています。一方で、日本人が見て美しい人物や特定のスタイル、例えば日本のアニメスタイルの画像を生成する際には、他のツールと比べて見劣りすることがあるかもしれません。

初心者に優しい操作性

 英語によるプロンプト指示が必要なことが多い画像生成AIですが、Adobefireflyは、直感的な操作が可能であり、特にAIに関する深い知識がないユーザーでも簡単に扱うことができます。

 複数の言語に対応しており、異なる画風を簡単に選択できるタブが用意されています。これにより、ユーザーはクリック一つで異なるスタイルの画像を生成することが可能です 。

 なので私のようなAI初心者がクオリティの高い画像を生成するのにとてもやさしい設計になっていると感じています。

 これにより、初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーが、創造的なアイデアを具体化できるツールと言えると思います。

最後に

 Adobefirefly は、画像生成AIの中でも生成できる画像の自由度が高いとは言えないかもしれません。それは独自の学習データの中で生成されるAIだからです。

 しかし、そのおかげで安全性が高いのも事実です。

 私自身Adobefirefly を使ってみましたが、美しい風景やかわいい動物のイラスト、空想的で個性的な生き物の生成などは、とても満足のいく画像を作成してくれました。

 ビジネス向け中心で記事を作成しましたが、ファンタジーや子供向けのかわいいイラスト十分生成できます。

 一方で、流行の日本アニメ風やAI美女の生成は難しい面もありました。

 しかし、Adobefirefly には日本語で指示ができる点や、部分修正やテイスト変更タブの充実、指定の構図画像を添付して構図を指定できる点、画角を拡張して生成できる点など、便利な機能がたくさんあります。

 ビジネスで活用する場合、これらの機能は不要かもしれませんが、AIをビジネスで取り入れようとしている企業には、間違いなくAdobefirefly はお勧めの画像生成AIツールだと思います。

 ぜひ皆さんもまずは触れて使ってみてくださいね。